産卵鶏におけるバタリーケージの再評価 : 福祉ケージとの比較による多面的検討

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タイトル別名
  • Revaluation of the battery cage system for laying hens : Manifold study by comparing with the furnished cages

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説明

バタリーケージを再評価するために,実験1ではバタリーケージと小型福祉ケージ,実験2ではバタリーケージと大型福祉ケージにおける産卵鶏の福祉と生産性を比較した。実験1では,54週齢時の白色レグホーン産卵鶏120羽を,バタリーケージの4羽(C4)および6羽区(C6)と小型福祉ケージ(横幅90cmx奥行き52cm)の4羽(F4)および6羽区(F6)の4区にそれぞれ導入した。行動,ステップ数,生産性および健康状態を測定した。砂浴び横行動はバタリーケージで多い傾向がみられ(P = 0.05),福祉ケージおいては,砂浴び,敷料掻きおよび敷料つつきが観察された。その他の慰安行動,移動およびステップ数は,6羽ケージよりも4羽ケージで多かった(それぞれP< 0.01, P< 0.001, P<0.001)。産卵率と産卵量は,C4とF6区で少なくなる傾向にあったが,その他の生産性に有意差は認められなかった。体重の増加は,6羽ケージよりも4羽ケージで大きかった(p<0.01)。以上のことから,福祉ケージにおける行動はより多様であったが,活動性や体重の増減は,ケージタイプよりもグループサイズ(密度)の影響が大きいことが示唆された。実験2では,80週齢時のボリスブラウン産卵鶏104羽を供試し,環境制御室のバタリーケージに24羽(2羽/ケージ),大型福祉ケージ(横幅240cm×奥行き62cm)に80羽(20羽/ケージ)を導入した。環境温度は,25~33℃で日内変動するよう設定した。行動,免疫反応,生産性および健康状態を測定した。敵対行動および移動は,バタリーケージよりも福祉ケージで多かった(いずれもp<0.05)。産卵率(p<0.05),日産卵量(p<0.05)および飼料効率(p<0.05)は,福祉ケージの方がバタリーケージよりも低い値を示した。免疫反応および健康状態には,ケージデザイン間で有意差は認められなかった。以上のことから,本実験条件においては,大型福祉ケージはバタリーケージと比較し,生産性が低いことが示され,それは敵対行動が頻発していたことによる影響であると考えられた。しかしながら,大型福祉ケージの福祉レベルが低いという明確な証拠は得られなかった。以上の2つの実験から,バタリーケージは,福祉ケージと比較して,行動が制限されるというデメリットがあるものの,生産性は高く,敵対行動も少ないことが示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050845762960298112
  • NII論文ID
    120006334436
  • NII書誌ID
    AA11561526
  • ISSN
    13465880
  • Web Site
    https://az.repo.nii.ac.jp/records/5038
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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