書誌事項
- タイトル別名
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- Axel Honneth's Theory of Reification and Recognition
- アクセル ・ ホネット ノ ブツカ ト ショウニン ノ リロン
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説明
アクセル・ホネットはいわゆるフランクフルト学派の第三世代にぞくすると評されるドイツの哲学者・社会学者である。その彼が『物化』を公刊した。この著作の意図は、マルクスによって創始されルカーチによって継承された物象化論に今一度アクチュアリティを与えようとするところにあるが、それはかなり特異な「物化」論でもある。その大きな特徴は、ルカーチの理論の読み換えを行い、彼独自の「承認」という概念を用いてこれを「物化」論に適用し、「物化」を「承認の忘却」として理解することである。しかし、こうした特異な「物化」論は、マルクスとルカーチによって定式化された物象化論から資本主義的商品交換社会という視点を排除し、本来社会的次元で生ずるはずの個々人どうしの「相互承認」の概念内容をも変更して、個人と環境世界との間の、しかも認知以前の「承認」へと拡大するとともに、個人的・人間学的な次元で読み換えようとするものであり、きわめて問題の多いものである。そしてそれは、その強引と思える読み換えと鍵となる概念内容の拡大によって、本来の物象化論がもつ社会批判としての意義を解消しかねないように思われる。本論文では、こうした観点から、マルクスとルカーチの物象化論に立ち帰ってまずその基本的思想を確認し、この準備作業から見えてくる、ホネットの「物化」と「承認」の理論がもつ問題点を分析する。
収録刊行物
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- 札幌学院大学人文学会紀要
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札幌学院大学人文学会紀要 (96), 77-99, 2014-10-01
札幌学院大学総合研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050845763133606784
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- NII論文ID
- 120005614632
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- NII書誌ID
- AN1009127X
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- HANDLE
- 10742/1963
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- NDL書誌ID
- 025900489
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- ISSN
- 09163166
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- NDL
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