鋳物砂用ベントナイトの粘結機構についての一考察

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  • On the Bonding Mechanism of Bentonite for the Molding Sand

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この研究の目的は,鋳物砂に発生する鋳型壁移動の発生機構とその防止策を解明することである。そこで,合成砂生型において,鋳造時の水分凝縮層の形成により,粘結粘土であるベントナイトの性状変化が鋳型壁移動発生の主因と考え,種々のベントナイトに関して,物理的性質や機械的性質を調査した。得られた結果をまとめると次のようなことが判明した。 (1)温度が上昇すると,いずれのベントナイトの膨潤度も増大するが,この傾向はNa系ベントナイトにおいて著しい。 (2)温度が上昇すると,いずれのベントナイトの懸濁度も減少するが,この傾向はCa系べントナイトにおいて著しい。 (3)塑性限界値及び液性限界値は,Na系ベントナイトが大きい。 (4)X線回折において,モンモリロナイトのピークの強度は,塑性限界値の含水比までは増加するが,この含水比を越えると減少する。またモンモリロナイトのピークの強さから,Na系ベントナイトのモンモリロナイトの含有量は大きいと考えられる。また,これらのベントナイトを使用した合成砂生型試験片の引張試験から,(5)20~100℃の温度範囲において,引張強さが漸増するのは,ベントナイトスラリーの性状変化のためと考えられる。以上のことから,(6)ベントナイトスラリーの粘結力は,ベントナイト粒子と水分子との静電気的結合力によると考えられる。

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