「浙学」の呼称とその系譜

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タイトル別名
  • Concepts of the “Zhejiang School” and Its Genealogy
  • セツガク ノ コショウ ト ソノ ケイフ

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抄録

本稿は,2006年12月9日,本学で開かれた寧波学術班主催講演会「浙東思想史再考」において発表された銭明氏の講演原稿「“ 浙学” 的称呼与流脉」(未発表稿)の翻訳である。著者は,1956年杭州市生まれ。陽明学研究者として日中両国において知られ,現在は浙江国際陽明学研究中心主任研究員,中国計量学院人文学院教授,杭州師範大学教授である。  「浙学」に関する明確な定義が生まれたのは,民国以降のことで,それ以前の「浙学」の概念は,浙江地方のどの地域の思潮を指すのか,またどの時代の思潮を指すのか,その指し示す内容が各時代によって異なる。第一章では,宋代から現代に至るまでの「浙学」という呼称の用いられ方について考察が加えられている。特に明代の劉鱗長に注目し,これを黄宗羲・全祖望ひいては章学誠と比較することで,劉鱗長が主張する「浙学」の概念を特徴づけている。また第二章では,「浙学」は宋代に成立して以降,繁栄に向かい,明清時代に最盛期を迎えたとし,「浙学」をめぐる系譜とそれぞれの学問的特色について議論を進めている。その議論は多岐にわたるが,特に宋代以来の浙東の豊富な文化土壌の中から生まれた陽明学が,同じ心学の系統に属す湛甘泉の学とともに,浙東と浙西の両地域において,それぞれどのように展開していったかについて,詳細に述べられている。  なお本稿末の注は著者による原注であり,本文中の「 」も原文の引用符号をそのまま置き換えたものである。これに対し,本文中の“ ” は訳者が加えたもので,このほか書き下し文において,( )に言葉の説明を,〔 〕に言葉の補いをしている。

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