患者からの病院職員に対する暴力の実態調査 : 暴力の経験による職種間比較

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Violence Committed by Patients against Hospital Workers

この論文をさがす

抄録

保健医療従事者は暴力の危険が高い職業の1つであることが示され、医療現場での暴力の実態について報告がなされている。看護の職場における労働安全衛生ガイドラインによると、看護管理者が暴力の実態を認識しても十分に組織的対策を講じているとはいえない現状がみえている。総合病院や病院内の全職種において、暴力被害の実態や対応について十分に検討されていない。本研究の目的は、病院職員を対象に職種別に患者暴力の被害実態を明らかにすることとし、本研究では総合病院の全職員を対象とし、職種別の暴力の経験を検討することとした。経験した職員が少なかった栄養士・調理師及びその他を除いた医師、看護職、薬剤師、検査技師、事務職で検討した結果、過去1年間に患者暴力の被害経験がある病院職員は56.4%(男性35.7%、女性63.8%)であった。職種別にみると、看護職が67.5%、事務職50.0%、検査技師39.5%であり、患者暴力の被害経験率が最も低かった職種は医師34.6%であり、職種によって患者暴力の被害経験率に開きがあった。暴力の種類別の被害経験率は、精神的暴力46.7%、身体的暴力25.7%、性的暴力19.7%の順であった。職種別にみると、全職種において精神的暴力の被害経験率が最も高かった。性別にみると、身体的暴力、精神的暴力、性的暴力のいずれにおいても女性が男性より患者暴力の被害経験率が高かった。職種および性別は身体的暴力、精神的暴力、性的暴力と有意に関連していた。年代および経験年数は身体的暴力、精神的暴力と有意に関連していた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ