脳低温療法施行時におけるフェニトインの投与設計に関する検討

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  • ノウ テイオン リョウホウ シコウジ ニ オケル フェニトイン ノ トウヨ セッケイ ニ カンスル ケントウ

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抄録

昭和大学病院救命救急センターでは、蘇生後脳症、重症頭部外傷患者に対してけいれん防止目的でフェニトイン(PHT)を使用している。PHTを投与した46症例の調査では、脳低温療法施行患者でPHT血漿中濃度(Cp)が上昇したため、患者ごとのPHT投与量の減量が必要であった。治療中の安全を確保するため、脳低温療法施行患者のPHT Cp値にもとづきCp変動要因を詳細に解析することによって、初回投与から維持量を考慮したPHT至適投与設計を検討した。PHTの負荷投与量を10.6mg/kgとし、臨床上やむを得ず6mg/kg/dayが維持投与量とされた群をI群(11症例)、4mg/kg/dayが投与された群をII群(13症例)とし、群間で比較検討した。その結果、I群では10症例にCpの上昇がみられ維持投与量を減じたこと、II群では1症例のみCp上昇がみられたが11症例は有効治療域であったことが明らかとなった。さらに両群間のCp変動に関わる要因を探索するため、病態、年齢、性別、体重、肝機能(AST/ALT)、血清Alb値、併用薬剤、血中濃度上昇によるPHT投与量減量または中止症例数を調査したところ、PHT投与量減量または中止症例数においてのみ2群間で有意差が認められた(p値<0.01)。今回PHTのCpが上昇した症例では、PHT投与早期からCpをモニタリングすることで適切にPHTを減量することができ、副作用の回避につながったと考えた。脳低温療法施行時は体温低下によりPHTの薬物動態に影響をもたらす可能性があり、適正なPHT維持投与量を6mg/kg/dayから4mg/kg/dayに変更すると予後良好となる示唆を得た。(著者抄録)

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