知恵と知識 : 神学の理想と理性主義の現実

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タイトル別名
  • Sapientia and Scientia : the ideal of theology and the real of rationalism
  • チエ ト チシキ : シンガク ノ リソウ ト リセイ シュギ ノ ゲンジツ

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抄録

110010022545

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人間の認識能力の限界に突き当たり懐疑主義に陥った哲学は, 慈悲深い神の存在を前提とする神学へと変化した。だが12世紀に入りアリストテレスの哲学が知られるようになると, 聖書との矛盾から神学と哲学の違いが意識されるようになった。事態を憂慮した神学者たちは神学を哲学から守ろうとするうちに矛盾した主張を応酬するようになり, 結果として神学の権威が損なわれることになっていった。全体の構成は次の通りである。 1章はアウグスチヌスから修道院神学まで。 2章はスコラ哲学の発生とアリストテレスの流入。 3章は13世紀後半における神学と哲学の関係。 4章はトマスの神学をめぐるドミニコ会とフランシスコ会の論争。読者は, 神学者たちが「絶対確実な知識」として神学をどんなに称揚しても, 人間の限られた認識能力の前では虚しい理想にすぎないことに中世の人々が次第に気づいていったことを理解できよう。

収録刊行物

  • 紀要

    紀要 10 1-45, 2016-03-31

    名寄市立大学

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