Gerald Graffの大学初年次文章表現教育 : 議論する文化へ向けて

書誌事項

タイトル別名
  • Gerald Graff's Method of Teaching Writing to First-Year College Students : Toward an Argument Culture
  • Gerald Graff ノ ダイガク ハツ ネンジ ブンショウ ヒョウゲン キョウイク : ギロン スル ブンカ エ ムケテ

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抄録

今日の大学において学生に議論の仕方を教えることは容易ではない。ジェラルド・グラフは、40 年以上にわたり文学を教えてきた経験に基づき、「会話」として議論を教えることを提唱している。本稿は、グラフの議論教育の理論と実践を、あらゆるテクストに発話の連鎖としての対話が形作られるとしたミハイル・バフチンの対話論を参照しながら検討した。グラフによれば、学術的文章の指導において、学生に他者の言葉を取り込み、自分の言葉と対話させる効果的な方法は、課題文として批評を与えて議論のモデルを示すとともに、学生に批評の要約とそれへの応答を求めることである。このような対話的な学術的文章を言語から見れば、引用の技法により、学問の言葉と書き手自身の言葉が入り混じり、権威の声と自分自身の声が響きあっているという特徴がある。これは、バフチンがヨーロッパの近代小説に見出した言語的多様性と二声性、さらには、その起源となった中世の文学における民衆の言葉の利用につながっている。

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