ブドウ 'デラウェア' のサビ果発生についての一考察

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タイトル別名
  • An Observation of Russeting on the 'Delaware' Grape Berries
  • ブドウ デラウェア ノ サビカ ハッセイ ニツイテ ノ イチコウサツ

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抄録

論文(Article)

【摘要】ブドウ‘デラウェア'の果実の発育にともなう表皮系の変化について組織学的な観察を行い,表皮の組織構造とサビ果の発生機構との関係を考察した.1.果実の表皮系は,表皮細胞(外気接触面はクチクラによっておおわれている)及び気孔からなる.断面観察によると,表皮細胞は果実の生長肥大にともない方形から横に長い長方形に変化ししだいに細胞間隙にクチクラが沈降した状態になる.また,印痕法による表面観察の結果では,果実表面のクチクラ上に果頂部から果底部(花柱から果こう方向)にかけて縦の溝線がみられ,この溝線上に6月下旬~7月上旬頃に,縦または横の小キレツが発生した.これらの小キレツは断面観察では下皮細胞および果肉細胞にまで達しており5日~7日の間にコルク化した.2.果実の表皮細胞には気孔が点在する.その数は1果粒あたり9~14個で,これらの気孔は終花後約2週間頃から開閉機能を失い,やがて孔辺細胞を中心に小規模な裂開がみられ,コルク化して皮目となる.3.'デラウェア'の果面に自然に発生する小キレツは,条件がそろえば,最初に発生したキレツ部分にとどまらず拡大しさまざまな形のサビ組織に発展した.また,気孔のコルク化した皮目(果点)は,通常,小型で,いわゆるナシやリンゴ果実にみられる果点サビのようには発展しないが,小キレツが皮目に近い部分に発生し,それと合流すると,時に果点サビとみなしうるようなサビ組織を形成した.サビ組織を発展拡大させる外的要因としては,多湿条件,日光の直射,低温そうぐう,薬害およびすれ傷などが考えられた.

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