牧草類の根の生長 : 1.根端の首振り生長

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タイトル別名
  • Root Growth of Forage Crops : 1. Rotation growth of root tips in Zea mays and Lolium multiflorum
  • ボクソウルイ ノ ネ ノ セイチョウ 1 コンタン ノ クビフリ セイチョウ

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抄録

牧草類の根の生育を動的にとらえるため,微速度映画撮影装置を用いて水耕栽培した牧草の根の生育を追跡した。飼育箱の上方と2つの側面から螢光灯を用いて補光し,8,000〜10,000 luxの2時間照明で水温はトウモロコシ26±2℃,イタリアンライグラス20±2℃とし,次のような結果を得た。1).平らで,湿った〓紙上でトウモロコシの種子を発芽させると,種子根の根端を下方に向けた形で一定のリズムで左右に首を振りながら前進する。2).根は発根した順に従って伸びる方向が変化する。初めの根は直下の方向に伸び,あとから発生する根はすでに発生した根と重ならないように順に角度をあげて伸び,根のひろがりを立体的に形成してゆく。3).根の伸びを下方から観察すると,根の太さの3倍の長さを直径とする円の範囲に根端を回しながら伸長する。根端は6〜7時間に1回転し,1次根,2次根ともに同じ方向に,同じ速度で回る。回転の方向はトウモロコシでは上からみて右回りであり,イタリアンライグラスでは左回りである。運動のリズムは昼夜ともに観察されたが日周期の有無は明らかでなかった。4).根端の首振り生長は,根がせまい土壌中の空間で抵抗の少ないわずかな間隙を求めて伸長する巧みな適応を示している。

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