水稲の障害型冷害に関する調査研究(2) : 追肥の影響について

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  • スイトウ ノ ショウガイガタ レイガイ ニ カンスル チョウサ ケンキュウ 2

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抄録

温暖地の早期栽培地帯において,障害型冷害の発生が懸念される場合に,その被害を軽減するための穂肥追肥方法,および穂肥施用時期(幼穏形成期)が低温の場合の追肥の可否について,'74年および'76年の冷害年の水稲で検討し,次の結果を得た。1. 温暖地の早期栽培では,穂ばらみ期が低温の場合でも,窒素を含んだ穏肥(出穏期前25日)の追肥は,穎花の退化数および不稔籾歩合が若干増加させるが,有効茎歩合や穎花の分化数を増加させ,最終的な登熱籾数が多くなる。したがって,穂肥の追肥は障害型冷害の被害軽減の手段となる。ただし,窒素成分を単独で施用することは不稔籾の増加につながるので,加里や燐酸成分の同時施用が望ましい。その際の成分量はいずれも3kg/10aが適当である。2. 穂、肥施用時期が低温の場合でも,窒素を含む穂肥の施用は玄米収量の増加に効果がある。すなわち,追肥により屑籾が増加するが,一次・二次枝梗の退化数を減少させ,穎花の分化数を増加させる。しかも穎花の退化数も減少させる。しかし,その成分が窒素だけの場合,不稔籾歩合や屑籾の歩合が増加するので,燐酸や加里を同時に施用することが必要である。3. 以上のような結果から,温暖地の早期栽培では,幼穏形成期や穂ばらみ期の低温害を軽減する手段として,穏肥に窒素と燐酸あるいは窒素と加里を施用することが効果的である。それらの成分はいずれも3kg/10aが適当である。

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