千葉県銚子地方におけるキャベツ菌核病の発生と防除

書誌事項

タイトル別名
  • チバケン チョウシ チホウ ニ オケル キャベツ キンカクビョウ ノ ハッセイ

この論文をさがす

説明

キャベツ菌核病の防除法を確立するために,主として現地試験で総合的に検討したところ,以下のような結果を得た。1. 銚子地方でキャベツ菌核病が昭和51年(1976年)に突然大発生し,その後発生は漸減し,1982年春には栽培上ほとんど問題にならない程度の発生となった。2. キャベツ菌核病は収穫期が1月下旬~2月下旬の作型で発生が多く,発病は主として結球開始葉より1葉若い葉から始まり,下葉からの発病はまれであった。3. 銚子での子のう盤形成は,平均気温が15℃前後になった10月下旬から認められ,形成のピークは11月上旬~下旬であり,1月上旬でもわずかに形成が認められた。一方,農業試験場内では,平均気温が17~18℃となった10月上旬から形成が認められ,形成のピークは11月中旬~12月中旬であり,その後形成数は漸減したが平均気温が3℃前後となった1月下旬でもかなりの形成が認められた。4. 菌核病の初発病部位は,結球開始葉より1~2枚若い葉に集中していることが明らかとなった。また,結球開始葉は菌核病が多発する1月下旬~3月採りの作型では,ほぼ葉位で20に集中していた。5. 菌核病に対する薬剤散布の効果はあまり高くなかった。供試した薬剤中では,スミレックス及びロブラール各水和剤の効果が高く,ベンレート及びトップジンM各水和剤がそれに次いだ。ただし,スミレックス水和剤の散布で特に外葉に黒紫色小斑点の薬害が生じた。6. 菌核病が最も多発する作型である1月下旬~2月採りのキャベツに対する薬剤散布の効果は,前年12月上旬から10日毎4回の散布で最も効果が高く,それより散布開始が遅れるにつれて効果が低下する傾向であった。7. 従来,土壌中の菌核に対して高い効果があるとされるクロルピクリン剤などによる土壌消毒の菌核病に対する防除効果は認められず,初発病部位が主に結球部であることから,銚子地方のキャベツ菌核病は主に子のう胞子で伝染しているものと推察された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ