水田多年生雑草オモダカの生態とその防除 (2) : 防除法及び雑草害

抄録

オモダカの防除法確立のため,耕種的防除法,薬剤による防除法及び雑草害について検討を行い,一応の防除水準及び防除法が明らかとなった。その結果は次のとおりである。1. 耕種的防除 (1)稲刈取り時のオモダカの地上部の刈取り時期・回数,刈取り高さと塊茎形成量との関係を検討した結果,塊茎の形成阻害効果が最も大きかったのは8月20日の地際刈りであるが,阻害率は無処理に対して26%と小さく,刈取りの時期や高さによってはかえって塊茎形成量が増加した。(2)9月から3月に反転耕あるいは撹拌耕を行うと翌年の発生量は無耕耘区の27~62%に減少した。とくに9月の撹拌耕は塊茎形成の阻害効果が高く,翌年の発生量は27%となった。また,耕耘により翌年の発生時期が早くなった。2. 薬剤による防除 (1)水稲生育期間中の薬剤防除においてオモダカに有効な薬剤は,初期剤ではピラゾレート粒剤,ビフェノックス粒剤,クロメトキシニル粒剤,中期剤ではジメタメトン・ピペロホス・ベンタゾン粒剤,SAP・シメトリン・MCPB粒剤,モリネート・シメトリン・MCPB粒剤,ベンチオカーブ・シメトリン・MCPB粒剤,ベンタゾン粒剤,後期剤ではMCP・ベンタゾン粒剤であった。これらの薬剤の初期+中期あるいは初期+後期の組合せ処理により雑草害を避けられる程度にオモダカを防除できた。(2)オモダカの発生による雑草害は,まず穂数の減少により,登熟歩合の減少も認められた。(3)移植後60~70日のオモダカの発生本数と水稲の精玄米重とは相関が高かった。5%まで減収を許容した場合の要防除水準は,移植後60~70日に草高30cm以上の大きな株がなく,残存本数で8~9株/m2程度であった。(4)稲刈取り後9月中旬(塊茎形成始期)までの2,4-PA水溶剤,MCP液剤,グリホサート液剤の茎葉処理は翌年の発生量を減少させる効果が高かった。

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