炭素・窒素安定同位体比から推察した晩春期の瀬戸内海西部海域におけるヒメジンドウイカLoliolus sumatrensisの生息場所および栄養段階

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  • Habitat use and trophic positions of Kobi squid Loliolus sumatrensis in the western Seto Inland Sea in late spring inferred from carbon and nitrogen isotope ratios

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抄録

晩春期の瀬戸内海西部海域におけるヒメジンドウイカの生息場所および栄養段階を推察するため、炭素・窒素安定同位体比を分析した。本種のδ15Nは沖合・外洋域の頭足類に比べて著しく高く、都市排水起源の15Nに富んだ窒素の影響を強く受けていたことが示唆された。外套長60~80mmの採集個体のδ13C-δ15Nマップ上での分布は、採集地点間で明瞭に異なっていた。この同位体比分布に基づき、採集個体は3群(I、II、III)に分けられた。群Iは河川水流入量が多く塩分が比較的低い広島湾湾奥部で採集され、群IIは河川水流入の影響が小さい広島湾湾央部と安芸灘で採集された。これらの2群は十脚類などを捕食する肉食者であることが示唆された。群IIIは、安芸灘北縁部の浅所でのみ採集された。この群は、δ13C、δ15Nともに特異的に低く、植物もしくは動物プランクトンを摂食するプランクトン食者であることが示唆された。

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