水稲の窒素吸収量からみた籾生産効率および精米一粒重が精米中のタンパク質含有率に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • スイトウ ノ チッソ キュウシュウリョウ カラ ミタ モミ セイサン コウリツ オヨビ セイマイ ヒトツブジュウ ガ セイマイ チュウ ノ タンパクシツ ガンユウリツ ニ オヨボス エイキョウ

この論文をさがす

説明

1 「はえぬき」および「ササニシキ」に共通する特徴として、窒素吸収量と籾生産効率には負の相関が、穂揃期の窒素吸収量と一籾当たり窒素量には正の相関が認められた。また、穂揃期の一籾当たり窒素量と精米中のタンパク質含有率には正の相関が認められた。このことは、籾生産効率が精米中のタンパク質含有率に大きく影響していることを示している。 2 「はえぬき」は、「ササニシキ」と比較すると穂揃期の同一レベルの窒素吸収量における籾生産効率が低く一籾当たり窒素量が多い。また、一穂籾数の変動幅は、はえぬきが55~70粒の範囲に90%以上、ササニシキが50~80粒の範囲に90%以上である。したがって、m2当たり籾数の多少は、はえぬきでは穂数が、ササニシキでは穂数と一穂籾数に影響されている。このことは、品種の籾生産効率の差異が精米中のタンパク質含有率に影響していることを示している。3 「はえぬき」、「ササニシキ」ともに、一籾当たり窒素量と精米一粒当たり窒素量には正の相関が認められた。さらに、両品種とも穂揃期の窒素吸収量が13gm-2未満の場合、精米一粒重と精米中のタンパク質含有率には負の相関が認められ、精米一粒当たりおよび一籾当たり窒素が同一レベルの場合、精米一粒重の重い試料で精米中のタンパク質含有率が高くなった。 4 分化穎花数は、窒素の追肥時期および遮光条件(日射量の制限)による区間の差は小さかった。一方、退化穎花数は、窒素の追肥時期が出穂期に近いほど、遮光率が高まるほど増加した。また、穂揃期の窒素吸収量からみた籾生産効率は、窒素の追肥時期が出穂期に近いほど低く、また、遮光率が高いほど低下した。 5 窒素の追肥時期が出穂期に近いほど、精米中のタンパク質含有率が増加するのは、従来から指摘されている施肥した窒素の成熟期における穂への分配率が高まることと籾生産効率が低下したことが影響していると推定した。 6 幼穂形成期から穂揃期までの遮光処理によって精米中のタンパク質含有率が増加するのは、籾生産効率の低下と、穂揃期における蓄積炭水化物量の減少により、千粒重を低下させたことが影響していると推定した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ