電気パルスとサイトカラシンDで処理されたブタ卵の単為発生能と細胞骨格の分布

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  • Parthenogenetic Development and Cytoskeletal Distribution of Porcine Oocytes Treated by Means of Electric Pulses and Cytochalasin D

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電気パルスとサイトカラシンDで処理されたブタ卵の単為発生能と細胞骨格の分布6-11鈴木裕之・高嶋陽子・豊川好司 弘前大学農学生命科学部、弘前市 〒036-8561 卵の活性化は最近の動物発生工学分野において重要な問題である。本実験では、ブタ卵の活性化のための最適条件を検討した。体外成熟卵を、二連続のDCパルス(150V/mm、通電時間60μsec、1sec間隔)、同電気刺激後サイトカラシンD(5μM、4時間)併用処理、または同一の電気刺激を2セット通電して活性化処理を施した。処理8時間後に、卵の核相と前核形成の様式を蛍光染色法により検査したところ、各処理区で高い前核形成率が得られた(93-96%)。二倍性の核を1個または半数性の前核を2個もつ卵が、電気刺激1セット(33%)または2セット処理区(41%)に比べ、電気刺激とサイトカラシン併用処理区で高率に見られた(84%)。電気刺激2セット処理により、卵表層に局在するマイクロフィラメントの部分的な欠損や卵細胞質外側のマイクロフィラメントと微小管の分布密度の低下が見られた。サイトカラシン併用処理した卵では、細胞膜直下のマイクロフィラメント層が波状を呈していた。活性化処理48時間後の卵割率に処理間で差はなかったが(69-78%)、処理168時間後の胚盤胞形成率は電気刺激1セット(11%)または2セット処理区(5%)に比べ、電気刺激とサイトカラシン併用処理区で高かった(24%)。本実験の結果から、二連続の電気刺激とサイトカラシンの併用処理区における高い胚盤胞形成率は、電気刺激それ自身よりむしろサイトカラシン処理によって卵細胞質のマイクロフィラメント構造が変化した結果として、二倍性の単為発生胚が高率に得られたことに依ることが示唆された。 キーワード:ブタ卵母細胞、電気的活性化、サイトカラシン、細胞骨格

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