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水稲新品種「春陽」の育成
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Description
「春陽」は中央農業総合研究センターの北陸研究センター(旧北陸農業試験場)で1991年に極大粒、極多収の低グルテリン米品種の育成を目的に、低グルテリン米系統「NM67×NM(1-3)」を母とし、極大粒系統「北陸153号」を父として人工交配を行って育成された品種である。1998年から「北陸183号」の系統名で奨励品種決定調査等の試験を行ってきた結果、2001年10月9日に水稲農林374号に登録され、「春陽」と命名された。「春陽」は低グルテリン、大粒という新しい特性を持った新品種であり、タンパク質摂取制限が必要な腎臓病患者等の病態食等の利用が期待される。「春陽」の特性の概要は以下のとおりである。1. 出穂期および成熟期は「ひとめぼれ」よりやや遅く、育成地では早生の晩に属する粳種である。2. 稈長は「ひとめぼれ」より10cm程度短い短稈で、穂長はやや長く、穂数は明らかに少なく、草型は偏穂重型に属する。3. 収量性は「ひとめぼれ」より明らかに高く、多収である。4. 耐倒伏性は「ひとめぼれ」より明らかに強く、やや強である。5. 品質は「ひとめぼれ」より明らかに劣り、中下である。6. 食味は「ホウネンワセ」並であるが、高温登熟条件下ではやや劣る。7. 白米中の易消化性タンパク質のグルテリン含量が低く、難消化性タンパク質のプロラミンが多い。8. 米の用途としては慢性腎不全患者の病態食、酒造用掛米、早炊き米等の加工利用が考えられる。9. 直播栽培において倒伏に強く、多収である。10. いもち病抵抗性遺伝子はPiaを持つと推定され、葉いもち圃場抵抗性、穂いもち圃場抵抗性はともに中である。11. 白葉枯病抵抗性はやや弱、縞葉枯病に対しては罹病性で、障害型耐冷性はやや弱で、穂発芽性は中である。「春陽」は、東北中南部から九州に至る広い地域で栽培が可能であるが、熟期、品質・食味および障害型耐冷性から判断すると、適地は東北中南部、北陸の平坦部であると考えられる。栽培にあたっては冷害地帯での作付および多肥栽培は避け、草型や玄米の粒大等を確認して異品種の混入に注意し、適期刈取りに努める。また、腎臓病患者への病態食として用いる場合には専門医、栄養士の指導を受ける。
Journal
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- 中央農業総合研究センター研究報告
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中央農業総合研究センター研究報告 (1), 1-21, 2002-03
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050845763598545792
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- NII Article ID
- 10030852371
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- ISSN
- 18816738
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- journal article
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- Data Source
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- IRDB
- CiNii Articles