抑制トマトの直播栽培法(1) : 直播栽培がトマトの生育と収量に及ぼす影響

説明

抑制トマトの省力的な栽培法として、直播栽培法を検討し、その生育特性、収量性および実用性を明らかにした。1.直播栽培における苗立ち率は90%程度であった。安定した苗立ち率を確保するためには、ネキリムシ類の防除と強風対策が重要と考えられた。2.直播栽培は慣行のポット苗移植栽培と比べて生育が早く、開花や収穫時期も早まった。また、果実肥大も良くなり、株当たりの上物収量は17~59%の増収となった。3.直播栽培における根系は移植栽培と大きく異なり、直根が太く、深く伸張した。これに対し側根および細根の量は移植栽培の22~48%と少なかった。4.欠株率10%の場合の減収率は4.8%であったことから、欠株部分を補植しなくても、直播栽培では約20%の上物収量の増加が期待できると試算された。5.播種後から幼苗期に不織布でベッドを被覆することで、初期の生育が促進され、果実肥大が良好で、多収となった。被覆除去時期は1.5葉期が最も多収となったが、実用的には、強風害の恐れが少ない出芽揃い期が良いと考えられた。6.現地試験においては直播栽培は移植栽培と比べて、上物収量で8~21%の増収となり、収益性も高かった。さらに、労働時間は作業全体の7%を削減できた。特に、播種・育苗および定植の労働時間は10a当たり6時間で、移植栽培の82.2時間に比べて大幅に削減することができた。以上のように、抑制トマトの直播栽培はきわめて実用性が高かった。

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