酒造好適米用水稲新品種「総の舞」の育成

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  • シュゾウ コウテキ マイヨウ スイトウ シン ヒンシュ フサ ノ マイ ノ イクセイ

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抄録

1.「総の舞」は1993年に千葉県農業試験場、北総営農技術指導所、水田作営農研究室において「白妙錦」を母親とし、「中部72号」を父親として交配した後代から育成された酒造好適米用品種である。F1世代を温室で養成し、F2世代はほ場でF3世代は温室で無選抜集団として養成し、F4世代で個体選抜を行い、その後系統育種法で養成された。2000年12月に「総の舞」と命名され、種苗法に基づく、品種登録申請を行った。2.本品種は育成地では「若水」に比べ成熟期が約20日早い中生品種である。稈長は『中稈』、穂長は『やや短』、穂数は『やや少』で草型は『偏穂重型』である。稈は『太』、稈質は『やや剛』で耐倒伏性は『やや強』である。芒の発生は『稀』で長さは『極短』である。3.耐冷性は『強』、穂発芽性は『極難』である。いもち病真性抵抗性遺伝子型はPiiと推定され、いもち病圃場抵抗性は、葉いもちは『中』、穂いもちは『強』である。4.収量性は「若水」より高い。玄米千粒重は「若水」と同じであるが、粒厚は厚い。心白の発現率は「若水」よりやや少ないが、心白は粒の中心に線状に発現し、心白の大きさは「若水」よりやや小さい『やや大』である。腹白などの発生は極めて少ない。5.玄米が硬く、精米時の砕米が少なく高度精米が可能である。白米の吸水性や消化性及び小仕込み試験の発酵経過は「山田錦」と同等で酒造適性は良好である。6.現地醸造では、醪は糖化と醗酵がバランス良く進行し、製成酒は香味の調和のとれた酒質で良好であった。

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