平飼い養鶏およびケージ飼いにおける生産性および卵質の比較検討

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  • ヒラ ガイ ヨウケイ オヨビ ケージ ガイ ニ オケル セイサンセイ オヨビ ランシツ ノ ヒカク ケントウ

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近年小規模養鶏場を中心に、褐色卵系の鶏を土間で放し飼いにし、生産卵を有精卵等として有利販売を図るいわゆる平飼い養鶏が広まりつつある。そこで、平飼い養鶏の技術指標を得る目的で、産卵成績等の生産性、卵質、卵の食味等をケージ飼いと比較調査した。試験は市販の褐色卵系鶏種を用い、通常の解放成鶏舎をケージ区とし、土間の区画に簡易移動式鶏舎(パオ)を設置し、放飼したものを平飼い区(以下パオ区)とした。試験期間は141~560日齢までの60週間とした。その結果、産卵率、平均卵重および産卵日量は差がなかったが、飼料摂取量は常にパオ区が多く推移し、飼料要求量も劣った。破卵率はパオ区で高くなり、軟卵率はパオ区で低くなったが、奇形卵率には差がみられず、これらを合わせた出荷不適格卵率全体としても差がみられなかった。試験期間中の平均体重はパオ区が軽くなった。卵殻色のうち、L値(明るさ)はパオ区が常に高い傾向で、a値(赤色度)は同区が常に低い傾向で推移し、平均でいずれも有意差が認められた。b値(黄色度)は差がなく推移したが、平均ではパオ区が有意に低くなった。肉斑出現率はパオ区が低い傾向で推移し、平均でも有意に低くなった。卵殻強度、卵殻厚、ハウユニット、卵黄色および血斑出現率は概ね差がなく推移した。食味試験では、生卵の香り、ゆで卵の香りおよび味について、いずれも有意差は認められなかった。以上から、平飼いはケージ飼いと比較して生産量は劣らないもののやや飼料消費が増加する。肉斑が減少する一方で卵殻の退色日齢が早い等の生産性や鶏卵の品質における問題点が明らかとなった。

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