胚盤胞形成過程の単為発生マウス胚と受精胚における細胞数と細胞分裂の頻度

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タイトル別名
  • The Number of Cells and the Rate of Cell Division in Parthenogenetic and Fertilized Mouse Embryos during the Course of Blastocyst Formation
  • Number of Cells and the Rate of Cell Division in Parthenogenetic and Fertilized Mouse Embryos during the Course of Blastocyst Formation

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抄録

胚盤胞形成過程の2倍体の単為発生マウス胚について、細胞の数および細胞分裂の頻度を観察して同時期の受精胚のそれらと比較し、両者の胚の間で細胞数に相違が生じる発生時期とその原因を検討した。8細胞期と小型化した桑実胚期において、割球の数と割球の分裂頻度は、単為発生胚と受精胚との間で相違なかった。胚盤胞の内細胞塊と栄養膜の細胞の数は、初期では単為発生胚と受精胚との間で相違なかったが、拡張期では受精胚盤胞(14.9および52.0個)に比べて単為発生胚盤胞(11.1および32.7個)でどちらも有意に少なかった。また、初期と拡張期の単為発生胚盤胞において、死んでいる内細胞塊と栄養膜の細胞の数は、同時期の受精胚盤胞のそれらに比べていずれも有意に多かった。初期胚盤胞の栄養膜細胞および拡張胚盤胞の内細胞塊細胞と栄養膜細胞の分裂頻度は、いずれも単為発生胚と受精胚との間で相違なかったが、初期胚盤胞の内細胞塊細胞の分裂頻度は、単為発生胚では4.4%であり、受精胚盤胞の9.7%に比べて有意に低かった。以上の結果から、単為発生胚の細胞数は、胚盤胞が形成されるまでは受精胚のものと相違ないが、胚盤胞が拡張する過程で、死んでいく細胞が増加するために受精胚に比べて少なくなることが考えられた。また、拡張期の単為発生胚盤胞における内細胞塊細胞の少なさは、多数の死んでいく細胞の存在に加え、初期胚盤胞期でのそれらの分裂頻度の低さに起因していることが考えられた。

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