マウス卵母細胞の成熟,受精および初期胚発生におけるγチューブリンの局在

抄録

チューブリンファミリーの一つであるγチューブリンは、中心小体周辺を構成しており、微少管の集合に必須であると考えられている。マウス卵母細胞の成熟、受精および受精卵の初期分割におけるγチューブリンの動き、ならびに第一減数分裂の紡錘糸形成におけるγチューブリンおよびαチューブリンの相互局在について共焦点顕微鏡を用いて調べた。γチューブリンは卵核胞(GV)期の卵母細胞中に均一に分散していることが判明した。卵核胞崩壊(GVBD)後、γチューブリンは細胞質内および凝縮した染色体の領域の両方に局在し、ついで前第一減数分裂中期および第一減数分裂中期の減数分裂紡錘糸の両極に並ぶようになる。第一減数分裂後期および終期では、γチューブリンは分離した染色体の間に観察されるが、中心体には観察されなかった。γチューブリンは、第二減数分裂中期に再び紡錘糸の両極に蓄積するようになる。αチューブリンもγチューブリンと同様の細胞質内における分布パターンを示し、減数分裂紡錘糸の形成時に染色体に近いγチューブリンの焦点から放射状に伸びる。受精後、γチューブリンは紡錘糸の両極から、前核中に分散する分離した染色分体の中心へと移動する。中間期の間に、γチューブリンは幾つかの点に凝集するが、初期胚では有糸分裂紡錘糸の極上に分布する。以上の結果より、γチューブリンは、マウス卵母細胞の減数分裂、受精および胚の初期分割における微少管の集合および紡錘糸形成に必須であることが示唆された。

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