ザンジバルにおける「鎮守の森」の管理とエコツーリズム利用の可能性

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  • Sustainable Management of Sacred Forests and Their Potential for Eco-Tourism in Zanzibar

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抄録

聖なる森(「鎮守の森」)は世界各地において、古くから生活の重要な一部だった。住民はそれを敬い、守り、その森との関わりにおいては、冒してはならない禁忌が存在していた。聖なる森はまた、生物多様性の貴重な宝庫でもあり、希少動植物種を守る役割を果たしている。近年、多くの地域では聖なる森が存亡の危機にあり、ザンジバルもその例外ではない。とくに若い世代の住民は、経済的困難に直面する中で、森に対する伝統的・文化的崇敬の念を失いかけている。こうした森を保護するためには、新たな生活手段の開発が望まれるが、ザンジバルでは聖なる森を活用したエコツーリズムが、その手段の1つになるかもしれない。エコツーリズムによる所得は、地域の経済を改善し、森林破壊をやめさせるだけでなく、利益の一部は聖なる森の保護管理のためにも使われうる。これを支援する政策もすでにある。ザンジバル政府にとって今、必要なことは、この考え方を地域におろし、包括的な話し合いを行って合意を得ることである。その前提となる基礎調査として、まず聖なる森の同定、計測調査、ゾーニング、マーキングおよびマッピングが必要である。また利用計画策定を進めるためには、その生態に関する包括的な研究も必要である。計画策定過程ではすべての利害関係者が一堂に会して話し合うことが求められる。またエコツーリズムが成功するためには案内人の研修や、優れた説明資料の作成が重要である。

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