青森県で再発見されたヤチヒロヒダタケArmillaria ectypaについて

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抄録

発生の稀なきのこで、従来青森県五所川原市と群馬県尾瀬ヶ原からしか報告のなかったヤチヒロヒダタケルArmillaria ecypaが、約50年ぶりに青森市で再発見された。本種は日本のほかにヨーロッパで発生することが知れているが、材上生ではなく、ミズゴケ類やスゲ類、ヨシなどを伴った湿地に発生する点でナラタケ属の中で特異的な種類である。青森市での発生地はヨシ(Phragmies communis)やコケ類[フロウソウ(Climacium dendroides)やヤナギゴケ(Lepodicyum riparium)など]を伴った湿地で、水田跡地であり、9月下旬からほぼ10月一杯にかけて子実体発生が認められている。このような環境は開発によって減少する状況にあり、生息地の消滅に伴う種の絶滅が危惧される。

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