牛の胚移植に関する研究(4) : 過剰排卵処理に用いるFSHの投与量と製剤について

抄録

黒毛和種経産牛の過剰排卵処理に用いるFSHの投与量と製剤の種類について検討した。通常用いられている豚下垂体性性腺刺激ホルモン(以下FSH-P)の投与量について、40-30、28、26-24、20mg投与の4区で比較検討した結果、推定黄体数及び回収卵数ともに投与量を減らす程、回収卵数が増加する傾向が見られ、20mg投与区が有意に高い値(P<0.01、P<0.05)を示し、残存卵数は少ない傾向にあった。正常胚率は、28-24mg投与が良好で、20mg投与区は最も低率であった。次に、黄体形成ホルモンの含量を抑えたFSH-P(以下FSH-W)の20mg投与を行った結果、未受精卵率が著しく(P<0.01)低下するとともに変性卵の減少もみられ、正常胚率が有意(P<0.01)に上昇し成績の向上が見られた。さらに、過去の繁殖成績が良く採卵成績が良好であった牛群に、FSH-PとFSH-Wの投与を行い検討したが回収卵数・正常胚数・正常胚率に差はなかった。しかし、FSH-Wの投与で未受精卵率の低下(P<0.01)がみられ、ホルモン中の黄体形成ホルモンの含量が未受精卵率に影響するのではないかと考えられた。これらのことから、黒毛和種経産牛の過剰排卵処理においては、FSH-Wの20mgを減量投与することにより、バラツキの少ない採卵成績が得られ、より多くの正常胚が得られるものと思われた。

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