新郷瀬川水系における重金属の挙動

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抄録

犬山市新郷瀬川水系の重金属を過去4年間にわたって調査した。その結果以下の知見を得た。1)この地域は秩父古生層の接触変成により,一部に重金属の鉱化作用が認められる。重金属を高濃度に含有した鉱石が破石場,団地造成工事等人為的要因により地表に現出し,風化をうけ,重金属は溶出しやすい形態に変化する。またバクテリアにより生成された硫酸によっても重金属は溶出され,雨水によって河川に運ばれる。2)地点(13)における河川水中重金属濃度は降雨の後,2~3日で最大となる。すなわち雨水による重金属の溶出時間は2~3日である。3)Cd,Zn,CuおよびNiは大部分が河川水に溶存していると推定される。4)水中に溶存した重金属は何らかの機構により底質に沈積するが,地点(13)より下流の主流域では同一の機構により重金属は定常的に沈積してきたと推定される。5)重金属のうちCdおよびZnは河川に運ばれ底質に沈積する過程において同一の挙動を示す。

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