土佐褐毛和種の産肉特性に関する研究(第1報)

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抄録

土佐褐毛和種の産肉特性を生かした枝肉生産技術を体系化するため、出荷月齢、肥育農家などの環境的効果や枝肉形質と化学的組成および疾病との関連性について分析した。環境効果の解析から、土佐褐毛和種は26ヶ月齢出荷を基準とした肥育期間の設定が適切と思われる。肥育農家の経営形態別効果は、一貫肥育が通常肥育に比べすべての枝肉形質について優れており、育成時の飼養管理の重要性がうかがえる。枝肉形質と化学的組成に関しては、脂肪交雑とロース芯不飽和脂肪酸組成率に正の相関が認められ、と殺時血中ビタミンA濃度との関係は認められない。しかし、ビタミンA不足は肉量面での経済的損失が大きく、適正な飼料給与の設定が必要である。枝肉形質に対する疾病の影響に関して、尿石症は、産肉性の良い肥育牛に発生しやすく、胸膜肺炎、肝炎、胆管炎、肝てつ、腎炎、膀胱炎は、枝肉形質、特に脂肪交雑、肉の光沢、しまりにマイナスの効果が高く、経済的損失が大きい。環在、アニマルモデルBLUP法による育種価評価によって、遺伝的能力の把握(土佐褐毛和種繁殖供用雌牛の約70%)が進んでいることから、肥育素牛の期待育種価と枝肉結果や化学的組成との関連性について解析を深め、その遺伝的能力に応じた肥育技術を体系化したい。

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