タイ北部の丘陵性常緑樹林における4年間の樹冠遮断量とその年々変動

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抄録

タイの丘陵性熱帯季節林における森林フラックスサイト(コグマ試験地)における年間樹冠遮断量、その測定誤差、およびその年々変動を明らかにすることを目的として、4年間にわたって降水量、樹幹流下量、および樹冠通過雨量を観測した。その結果、以下のことが整理された。(1)4年間の年降水量の最小値と最大値はそれぞれ1641.9mmと2481.2mmとなり、その年々変動の幅が大きいことが確認された。樹冠遮断観測プロット近辺に設けた互いに約200m離れた2地点での年降水量の差は、各年とも1%~2%の範囲内であった。この差は、コグマ試験地でおこなわれた既往研究で報告されている年降水量の標高依存性で説明できる範囲であった。一方、2地点での観測毎の降水量は、約半数の観測において、降水量に対して10%以上の差を示していた。これら観測毎の降水量の差は、コグマ試験地内の降水量の空間分布が生み出したと考えられた。また、2地点での年降水量がほとんど等しかった理由として、両地点における降水量の大小関係は観測毎に入れ替わり、1年間の積算降水量を比較した場合は、個々の観測での降水量差はキャンセルされていることが挙げられた。樹冠遮断観測プロットは2地点の降水量観測点からそれぞれ50mと250m離れていたが、そのプロットの真上における年降水量は、2地点での年降水量の範囲であるとして差し支えないと判断された。

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