池中飼育サクラマスの細菌性腎臓病病原菌(Renibacterium salmoninarum)に対する血中凝集抗体価の季節的変動

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  • Seasonal change in serum agglutination titer against renibacterium salmoninarum in farmed masu salmon oncorhynchus masou

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抄録

ある養魚施設のサクラマスに発生する細菌性腎臓病(BKD)について調査した。調査対象とした養魚施設は1980年代後半からたびたびBKDの発生がみられ、その病歴記録により、比較的高率な死亡を伴うBKDの発生は春から初夏に限定されることがわかった。発生の季節が限定されることについて、その原因を明らかにすることは慢性的BKDの病態を知る上で重要と考えられる。病勢の季節的変動の指標として、経時的にサクラマス腎臓組織からの原因菌(R.salmoninarum)の検出を行い、感染率の推移を調査した。同時にBKDに対する抗病性の指標としてサクラマス血液の病原菌に対する凝集抗体価の測定とトータルなimmunoglobulinM(IgM)の定量を行った。調査によりサクラマス血液の原因菌に対する凝集抗体価は年齢1+、2+ともに春季に大きな落ち込みがあることが推察された。この凝集抗体価の季節的変動は原因菌が検出されなかった群においても確認された。これらの結果より慢性的BKDが春から初夏に大量死をもたらすことについて、サクラマスの凝集抗体価等の抗病性の低下が引き金になっていることが考えられた。凝集抗体価の変動要因は不明であるが少なくともIgM量の季節変動や水温変化と連動するものではないことが明らかとなった。

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