皆伐地に出現した高木性樹種の種数変化と隣接する広葉樹林までの距離

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  • カイバツチ ニ シュツゲンシタ コウボクセイ ジュシュ ノ シュスウ ヘンカ ト リンセツスル コウヨウジュリン マデ ノ キョリ

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抄録

種子供給源である広葉樹林からの距離と皆伐地に侵入した高木性樹種の種数、本数密度の関係を調査した。皆伐地に隣接する冷温帯落葉広葉樹林は、平均樹高15~25mのミズナラ、カエデ科(ウリハダカエデ、イタヤカエデ、ヤマモミジ)、ブナ、ヤマザクラが主要な構成樹種であり、上層木の本数は1,400~1,700本/haであった。皆伐地に出現した主な高木性樹種は、隣接する広葉樹林の優占種であるミズナラ、ウリハダカエデ、イタヤカエデ、ヤマモミジ、ブナ、ヤマザクラの他にシデ類、ケヤキ、クリ、ウワミズザクラ、ウリカエデなどであった。その他には鳥散布型の樹種(ガマズミ、ヤマボウシ)あるいは埋土種子由来の樹種(カラスザンショウ、クサギ、アカメガシワ)が認められた。皆伐地に出現した高木性樹種は、隣接する広葉樹林からの距離が離れるにつれて種数、本数密度の双方ともに減少する傾向であった。一方、皆伐地を挟んで広葉樹林の対面にあるスギ人工林内での出現種は、皆伐地で出現した高木性樹種との類似性は低く、動物(鳥)散布型の樹種が増加した。これらは、種子の散布様式や更新様式あるいは稚樹の生存過程の違いにより、皆伐地とスギ人工林内では樹種構成が異なることを示唆するものであった。

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