オクヤマザサ部分開花集団における開花稈の動態

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タイトル別名
  • Flowering culm dynamics in sporadic flowering of Sasa cernua Makino

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抄録

一回結実性植物として知られているササは、数十年に一度一斉開花し枯死する。ササにおける開花の範囲は、部分開花から大面積にいたるまでさまざまである。本研究では北海道の林床に広く分布するオクヤマザサ(Sasa cernua)の部分開花集団を対象に稈単位の詳細な位置図と開花の有無を調査した。調査を行った3プロットすべてにおいて開花の前年に部分的な開花があり、開花年には前年開花で枯死しなかった稈が再び開花する現象が見られた。つまり稈単位で開花性の調査を行うことによって、同一稈が連続して2年間咲くという事実が初めて明らかになった。また、前年開花を行う稈のサイズは行わない稈にくらべて有意に大きかった。これらの結果から、オクヤマザサの開花には稈サイズがなんらかの影響を及ぼしていることが示唆された。開花後の追跡調査では、過去に一度でも開花した稈はすべて枯死しており、再生稈は認められなかった。結実しなかった小面積の開花パッチでは開花同年の7月に再開花が認められた。また、開花翌年に花穂のみからなる新たな稈の発生が認められた。本調査地におけるオクヤマザサ部分開花の範囲は、周辺の開花集団も含めて約250~1000m2と推定された。

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