侵略的外来種ブルーギルの有効的な駆除管理に向けた科学的検討

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  • シンリャクテキ ガイライシュ ブルーギル ノ ユウコウテキナ クジョ カンリ ニ ムケタ カガクテキ ケントウ

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抄録

1.既存の漁法のひとつである釣りが、ブルーギル個体群の抑制に対してどの程度有効であるかを検証した。3年間にわたる駆除の結果、推定母集団の58.5%に当たる個体数が減少したことから、釣りによる個体群抑制の有効性が示唆された。しかし、釣りによりブルーギルを抑制し続けるためには長期的かつ継続的な努力が必要となることから、人に替わってブルーギルを抑制することができる、より簡便かつ費用対効果の高い技術の開発が必要であると考えられた。2.水中人工音響を用いて、ブルーギルの採餌と繁殖の抑制が可能であるかどうかを検証した。ブルーギルの採餌活性は100Hzの周波数を暴露した場合に最も低くなり、200Hzと50Hzがそれに続いた。100Hz、200Hz、50Hzを暴露した場合の採餌量はコントロール区と比較して、それぞれ16.9%、34.0%、および37.6%にまで減少した。単位時間あたりのブルーギルの採餌量は、餌生物や競争生物への影響を規定する要因のひとつと考えられる。そのため、採餌インパクトを軽減させる人為的操作はブルーギルの影響を軽減させる有効な方法となる可能性がある。3.人工音響により、卵および仔魚に対する雄親の保護・防衛時間を減少あるいは保護/防衛の時間配分比を変化させ、産卵床から浮上する卵・仔魚の生残率を減少させることが可能かどうかを室内実験により検証した。卵から浮上仔魚期までの生残率に関して、実験処理区間で統計的有意差はみられなかったものの、人工音響を暴露させないコントロール区ではおおよそ100%の卵がふ化したのに対して、100Hzの正弦波を暴露させた実験区では80%程度、50Hzの正弦波を暴露させた実験区では58%程度、そして、Boat Noiseを暴露させた場合には40%まで生残率が減少した。

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