波浪による振動を低減した耐波性かき養殖筏の開発とそれを用いた養殖マガキの生産

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マガキの成長が遅く、収益性が低い「波浪漁場」での養殖拡大を目的として、波浪による振動を低減した、耐波性があり、かつ生産性の高い筏の開発を行った。試験筏は耐久性に優れたFRP製パイプと浮力調整フロートで構成され、既存の竹筏より浮力の低い状態で養殖を行った。加速度計を用いた振動測定試験から、試験筏は竹筏と比較して波浪による振動が低減されていることや、竹筏で明瞭に観測された微振動がほとんど発生しないことが観測された。また、2年の試験期間中、試験筏は台風時の破損や材質の劣化が殆どみられなかった。試験筏によるマガキの成長は良好で、個体重量と最大加速度との間に負の相関(R2=0.846)がみられたことから、成長には筏の振動が大きく影響していることが分かった。品質の低下を招く卵巣肥大症の異常膨癌は、軟体部へのグリコーゲン蓄積に伴って成長の良い試験筏での視認率が低下した。一連の結果から、今回作成した試験筏は耐波性があり、波浪による振動が少なく、かつ生産性の高いことが明らかとなった。

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