Spices in Sri Lanka, India and Bangladesh with special reference to the usages and consumptions

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  • スリランカ・インドおよびバングラデシュにおける香辛料の利用と消費

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人類が狩猟採集経済においても長いあいだ山野に自生する種々の香辛料を自らの調理に利用していたと想像するのは決して難しいものではない。その後、およそ一万年前に人類は農耕を開始し、作物の栽培、家畜や家禽を生活の場に取り込んだ食糧生産経済(新石器革命)に移行した。数百万年におよぶヒトの長い歴史の中で、それぞれの民族が自らの料理に相応しい香辛料を開発・選択・栽培する独自の食文化を構築していくことになった。すなわち、人類と調味料との結びつきにも長い歴史があったことになる。ヨーロッパ諸国からインド、アジア大陸、アメリカ大陸などに海外進出する大航海時代は、15世紀半ばごろから始まり、17世紀半ばごろまで続いた。ポルトガル人のヴァスコ・ダ・ガマがアフリカ大陸の南端の喜望峰(Cape of Good Hope)を越えてインド西南部のカリカット(Culicut)に達したのは、1498年5月20日であった。アフリカ周りのインド航路が開拓されたことによってインド産に限らず、東南アジアの島々から熱帯産の多彩な香辛料が大量に本国に持ち込まれるようになり、ヨーロッパ人たちは以前に経験したことのない新しい味覚を味わい知ることになった。その後、ポルトガルはマレー半島やセイロン島(現在のスリランカ)にも進出し、その流れを汲んで1543年に種子島に鉄砲が伝来されることになり、1557年にマカオに要塞を築き、東アジア進出の足場をつくった。一方、オランダは1610年ジャカルタにオランダ東インド会社(略称VOC)の商館をつくり、香料貿易の独占をねらった。さらには香料諸島とも呼ばれ、大航海時代の到達目標にもなっていたモルッカ諸島をはじめ、他の島々に産する香辛料の利権と貿易の主導権を巡り、オランダ、イギリス、スペインなどの列国間で熾烈な争いが起こった歴史がある。このように列国が競い、あい争ってまで香辛料を求める歴史があった中で、香辛料を産し、また日常生活における利用頻度が高いインド、スリランカとバングラデシュで、伝統的に利用される香辛料の種類、その用途と頻度に関して行った現地調査結果を報告し、考察を加えた。

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