諫早湾干拓地における施設キクの栽培適応性および栽培法

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  • イサハヤワン カンタクチ ニ オケル シセツ キク ノ サイバイ テキオウセイ オヨビ サイバイホウ

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説明

1)諫早湾中央干拓地の気象の特長は気温の年較差が大きく、夏季が高温傾向で、秋から早春までは低温傾向で推移するため、施設キク栽培にとって必ずしも有利な条件ではないが、反面、冬季の豊富な日照時間と日射量は施設キク栽培に有利な条件である。2)諫早湾干拓土壌は、作付け前の分析結果ではpH6.30、塩基飽和度111%と高く、キクの生育に影響が出る可能性があり、キク栽培に適した土壌に改良するためには、施肥は窒素のみとし、土壌分析で経過を見ながら他の養分の施肥開始時期を判断する必要がある。3)夏作のキクの生育の特長は、摘心までの初期生育は緩慢であるが、摘心後は遜色なく生育する。また、節間は短いが、葉展開速度は遅い傾向にあるため、同等の草丈では、葉数が多い傾向にある。夏作の栽培は初期生育の緩慢さや高温対策の課題はあるが、摘心後は遜色なく生育することから、定植を早めることで既産地並の収量確保が見込め、その適応性は既産地と同等と判断できる。4)冬作の栽培は、摘心栽培での12月中下旬出荷の作型で、8月20日頃に定植することで既産地と遜色のない収量が得られると推察されるので、適応性は同等と判断できる。5)施肥につては、収量確保の観点から、栽培開始から3作目までは基肥窒素30kg/10a施用を必要とし、4作目以降は基準施肥量の基肥窒素20kg/10a施用でよい。6)生育調査の結果から、加里施肥の必要性は認められず、土壌分析の結果では、施肥区で加里集積が認められたことから、当面諫早湾干拓地での施設キク栽培では加里を施肥する必要はなく、加里成分が高い牛糞堆肥についても、3t/10a/作を減らす必要がある。

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