養蚕農家で発生した不結繭蚕の原因解明

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  • ヨウサン ノウカ デ ハッセイ シタ フケツ ケンサン ノ ゲンイン カイメイ

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抄録

平成18年に茨城県及び栃木県の養蚕農家で原因不明の不結繭蚕が発生した。この出現原因の追跡を行い、発生経路を明らかにした。まず、不結繭蚕が発症した養蚕農家の共通点として、家畜の堆肥を桑園に施用していることが判明した。そこで、家畜舎ではハエなどの防除に昆虫成長制御(IGR)剤が用いられていることから該当養蚕農家の堆肥にIGR剤が含まれているのではないかと仮説を立て追求した。市販されている幼若ホルモン(JH)剤・脱皮阻害剤・キチン合成阻害剤、該当養蚕農家に残存していた堆肥を桑葉に塗布し、カイコ最終齢幼虫に継続的に摂食させた。その結果、JH剤と堆肥処理区から永続幼虫や不結繭蚕が出現した。一方でキチン合成阻害剤を処理したものでは正常に結繭を行なったが、幼虫期には体色の褐色化が見られ蛹化形成は阻害された。また、脱皮阻害剤で処理を行なったものでは異常は見られず結繭した。この結果を受けて検証を行なった結果、養蚕農家で生じた不結繭蚕は、最終齢幼虫の盛食後期に1.0ppm〜10.0ppmのJHA剤またはJH類縁化合物を含有している堆肥が桑葉に付着し一部のカイコが摂食したことに起因するものと結論づけた。

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