専用品種「ホシアオバ」、「クサノホシ」を活用した飼料イネの効率的栽培技術
書誌事項
- タイトル別名
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- センヨウ ヒンシュ ホシアオバ クサノホシ オ カツヨウ シタ シリョウ イネ ノ コウリツテキ サイバイ ギジュツ
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説明
飼料イネの効率的栽培技術を確立するため、主として湛水直播栽培により品種選定、施肥、防除、機械化体系等に係る試験研究に取り組んだ。1.収量性、耐倒伏性、耐病虫性、直播適性等から、飼料イネ専用品種として育成された中生品種「クサノホシ」が有望であり、作期分散の観点からは、同じく飼料イネ専用極早生品種の「ホシアオバ」を組み合わせるのが良い。2.「クサノホシ」では、牛ふん堆肥、化学肥料(窒素)とも施用量が多いほど乾物収量は多くなるが、倒伏程度も増大するめで、堆肥は2t/10a、施肥窒素総量は10kg/10a程度を目安とする。3.「ホシアオバ」、「クサノホシ」では、施肥体系を「基肥-穂肥1回」とした場合、窒素施肥量はそれぞれ6、4kg/10aを基本とし、倒伏防止のため極端な穂肥増施は避ける。穂肥時期は飼料の粗タンパク質含有率確保等のため、出穂期前30〜20日頃とするのが望ましい。4.「ホシアオバ」、「クサノホシ」とも基肥の代わりに3〜4葉期に同量の窒素を追肥しても同等の収量が得られるが、倒伏程度が大きくなりやすいので、可能な限り基肥として施す。5.緩効性肥料を利用すると、30%減肥でも同等の収量が得られ、倒伏は少ない。10a当たり肥料代は高くなるものの、労力が不足する中で確実に収量を確保する手段としては有効である。6.飼料イネ生産では、わらをほ場へ還元できないので堆肥を確実に施用する必要があるが、堆肥4t/10a程度を連用した場合は土壌に窒素が集積するので、化学肥料やその後の堆肥施用量を減らす。7.「ホシアオバ」、「クサノホシ」では、本田での病害虫防除は基本的には必要ない。被害が最も懸念されるセジロウンカについても、防除が必要となる寄生密度は、食用品種の2〜3倍程度と考えられる。8.代かき同時土中点播であれば、10a当たり播種量(乾籾換算)を「ホシアオバ」で4〜4.5kg、「クサノホシ」で3.5〜4kg程度確実に確保して苗立率の低下を補うことにより、催芽後のカルパー粉衣は省略可能である。ただし、打ち込みディスクの回転数を1,200rpm以上として播種深度5mm程度を確保し、浮苗や倒伏の発生を軽減する必要がある。9.「ホシアオバ」及び「クサノホシ」のコンバインベーラによるダイレクトカットでの収穫適期は、水分、乾物重、TDN収量、サイレージ品質等の観点から、出穂期後25〜40日頃の約15日間である。10.コンバインベーラによる収穫・調製作業体系は、省力・軽作業性に優れ、刈取時の泥土の混入による品質低下もほとんど発生しない。11.6人組作業によるコンバインベーラ収穫作業体系では、製品の収納を含め1日当たり1haの収穫作業が可能である。12.極早生品種「ホシアオバ」と中生品種「クサノホシ」を5月中旬に播種することにより収穫期間が30日程度確保できることから、作業可能日数率を考慮すると6人組作業により23ha程度の作業が可能である。
収録刊行物
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- 山口県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Yamaguchi Agricultural Experiment Station
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山口県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Yamaguchi Agricultural Experiment Station (56), 16-32, 2007-03
山口 : 山口県農業試験場
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050845763636859136
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- NII論文ID
- 40016612713
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- NII書誌ID
- AN00243553
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- ISSN
- 03889327
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- NDL書誌ID
- 10253338
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles