成魚放流されたヤマメの釣獲特性

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  • セイギョ ホウリュウ サレタ ヤマメ ノ チョウカク トクセイ

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岐阜県内の渓流漁場のある漁業協同組合では、放流時点で漁獲制限体長を上回るアマゴ(Oncorhynchus masou ishikawae)やヤマメ(O. m. masou)を放流し、ただちに遊漁者に釣らせる、いわゆる成魚放流が行われている。この放流形態は、稚魚放流による増殖効果のみでは増加する遊漁者を満足させることができないことから、1970年代の一時期に岐阜県を含めいくつかの県で研究が行われ、在来マスの養殖技術の確立とともに普及していった。岐阜県の漁業統計上は1981年(昭和56年)の記録がもっとも古いものであり、本県の成魚放流はこの年から始まったと見なされる。成魚放流は放流量の割に漁期が短いことや、放流場所付近に魚が留まらないという問題があることが、遊漁者・漁業協同組合双方の経験から指摘されてきた。過去に行われた研究においては主に放流魚の回収率に主眼がおかれ、釣獲特性や漁期、放流魚の移動といった、総合的な成魚放流の特性そのものに対しての研究は行われてこなかった。これは、成魚放流が稚魚放流による増殖効果を上回る分を補填する補助的役割であったことや、自然河川の生産力を利用しない釣り堀的手法であり増殖事業とは言い難く、研究対象になりにくかったことが関係しているのかもしれない。しかし、本放流法は他の増殖法では遊漁者の要望を満せない現状では必要なものであり、放流告知場所に集まる遊漁者の数を実際に目の当たりにすれば、本放流方法の需要が高いことがよくわかる。このような実情から当所は効率的な成魚放流について方法論についての研究を進め一通りの成果を得ることができた。本報では、それ以外当所で行った成魚放流調査であるヤマメの成魚放流調査について、放流日や系統差が釣獲率におよぼす影響や、他魚種(ニジマス;O. mykiss)との混合放流を行った釣獲特性の結果について報告する。

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