高温登熟性に優れる水稲新品種「元気つくし」の育成およびその特性

書誌事項

タイトル別名
  • コウオントウジュクセイ ニ スグレル スイトウ シン ヒンシュ ゲンキツクシ ノ イクセイ オヨビ ソノ トクセイ

この論文をさがす

抄録

水稲新品種「元気つくし」は福岡県農業総合試験場において、早生の熟期、高品質かつ高温登熟性を有する極良食味品種の育成を目的に、早生、極良食味の「ちくし46号(後の「つくしろまん」)」を母、早生、多収、高品質の「つくし早生」を父として人工交配を行った組合せから、登熟期間に35℃の温水掛け流し処理を行う高温耐性評価施設を用い、高温登熟性を評価して育成された。同熟期の「つくしろまん」および本県の主要品種である「ヒノヒカリ」と比較した特性は以下のとおりである。出穂期および成熟期は「つくしろまん」と同程度で、「ヒノヒカリ」よりも7日程度早い‘早生’に属する。「つくしろまん」と比較して、稈長と穂長はやや長く、穂数は同程度〜やや少なく、草型は‘中間型’の粳種である。耐倒伏性は‘やや弱’である。いもち病圃場抵抗性は葉いもちが‘弱’、穂いもちが‘やや弱’である。穂発芽性は‘難’である。高温登熟性は‘強’で、心白粒や乳白粒などの白未熟粒の発生が少なく、玄米の外観品質は「つくしろまん」、「ヒノヒカリ」より優れる。収量性は「つくしろまん」や「ヒノヒカリ」と同程度で、玄米千粒重は同程度である。炊飯米の食味は特に外観、粘りが良好で、「つくしろまん」と同程度の極良食味である。アミログラム特性値からみた米の糊化特性およびテクスチャー特性値からみた炊飯米の粘弾性は「つくしろまん」と同程度に優れる。本品種は早生で高温登熟性に優れる極良食味品種として、平坦地に適すると考えられ、2008年12月に種苗法による品種登録出願がなされ、2009年1月に福岡県の準奨励品種に採用された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ