クロマツ植栽苗への防風柵による寒干害の助長効果

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  • クロマツショクサイナエ エ ノ ボウフウ サク ニ ヨル カンカンガイ ノ ジョチョウ コウカ

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抄録

本研究では、土壌凍結による寒干害がみられる日高町豊郷のクロマツ海岸林造成地において、防風柵による被陰がもたらす寒干害の助長効果を検討した。1998年~2003年にかけて造成された80ブロック(1ブロックの大きさは20m×12m)について、ブロック内に6列ある植栽列ごとに生残率を一般化線形モデルによって解析したところ、海側の植栽列、すなわち防風柵によって被陰される植栽列の生残率が有意に低い結果となった。また、2つのブロックにおいて、2008年と2009年に、火山灰土が施されたもともとの植栽列、およびそれらの間の砂地に植栽試験を行い(計12列)、越冬後の生残状況について順位回帰分析を行ったところ、防風柵によって被陰される植栽列の枯死・枯損が有意に多い結果となった。植栽試験と同時に越冬期間中の土壌凍結深を測定したところ、2009年~2010年の土壌凍結期間は、防風柵によって被陰される植栽列が、それ以外の植栽列よりも長く、凍土融解時期が約1ヵ月遅かった。これらの結果から、日高町豊郷のクロマツ海岸林造成地において防風柵によって被陰される場所では凍土の融解時期が遅くなり、寒干害が助長されると結論できる。

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