軟質針葉樹材の表面硬化技術の開発

この論文をさがす

説明

アカマツは内装材としては化粧性が高いが,低比重な早材部に起因する軟質さが原因で,床やテーブルの天板には好まれない。そこで,本研究では,軟質材の表面を塗装と積層により簡易に硬化することを目的として,アカマツ単板を積層し,接着層が平行に現れる面を用いることにより,軟質な早材部の分散,接着剤による補強効果を図り,さらに塗装をすることにより広葉樹並の表面硬度を得るものである。今回は,アカマツ単板(1~5mm)を用い,水性ビニルウレタン樹脂接着剤により積層接着(プレス圧:0.98MP,圧締時間:12時間)を行った後,ウレタン系樹脂(斉藤塗料製,針葉樹専用塗料下塗り剤「木堅め剤」)を下塗りに用い,鉛筆ひっかき硬度がBから4Hの塗膜硬さを持つ塗料を上塗りに供した。また硬さの評価として,ビッカース硬さ試験,ブリネル硬さ試験(JIS Z-2101),部分圧縮強度試験(JIS Z-2101) を行った。実験により次の知見が得られた。1 ビッカース硬さは,積層による影響よりも上塗り塗料の影響を強く受け,アカマツ塗装単板積層材はアカマツ素材に比べて50%以上増加した。2 ブリネル硬さは,塗装に比べ積層による影響が大きく現れ,アカマツ塗装単板積層材のブリネル硬さはアカマツ素材に比べて最大で2倍に増加した。3 部分圧縮強度の増加は,塗装の種類によらず,積層のみが影響した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ