低濃度リン化水素とフッ化スルフリル混合くん蒸におけるSitophilus属穀類害虫(Coleoptera:Dryophthoridae)に対する殺虫相乗作用と阻害作用(2) : コクゾウに対する混合ガスによる殺虫試験及び連続くん蒸による確認試験

書誌事項

タイトル別名
  • Synergistic and suffocative effects of fumigation with a lower-concentration phosphine and sulfuryl fluoride gas mixture on mortality of sitophilus species (Coleoptera: Dryophthoridae), a stored-product pest (part 2) Susceptibility test on Sitophilus zeamais for fumigation with a gas mixture, and verification test of a sequential fumigation with two fumigants

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抄録

コクゾウムシの混合ガス(低濃度リン化水素[PH3]+フッ化スルフリル[SF])くん蒸による殺虫試験では、成虫のSF20mg/l+PH3 0.05~0.1mg/l、3時間、15℃、及び幼虫のSF0.7mg/l+PH3 0.1~1.0mg/l、24時間、15℃のいずれの処理においても、同薬量のPH3とSFの単独くん蒸よりも、殺虫率を劇的に増加させた。PH3ガス濃度が低い場合など、呼吸が阻害されない条件では、虫体に両くん蒸剤が十分に取り込まれ、両ガスによる相乗効果により殺虫率を上昇させたと考えられる。しかし、蛹のSF0.9mg/l+ PH3 0.1~1.0mg/l、24時間処理では、SFの単独くん蒸より殺虫率が著しく低下した。PH3くん蒸の低薬量(0.025、0.05及び0.1mg/l)、20時間処理における蛹の麻痺状態の調査から、蛹では成虫・幼虫よりも、PH3により敏感に呼吸が抑制され、SFの取り込み阻害が起こる可能性が示唆された。コクゾウ成虫に対して、SFくん蒸、20mg/l、3時間処理及びPH3くん蒸、0.05~0.1mg/l、4時間処理を、両薬剤のくん蒸順番を変えて実施した。両くん蒸の間に1時間の排気時間があるにも関わらず、くん蒸の順番に関係なく、殺虫率が向上し、PH3とSFは混合くん蒸でない場合でも相乗効果を発揮した。コクゾウ蛹をSF0.9mg/lで24時間くん蒸後、PH3 1.0、1.5又は2.0mg/lを追加投薬してさらに48時間くん蒸した処理では、混合ガスくん蒸の16.5%に比較して、殺虫率が84.5%まで上昇した。また、PH3単位薬量の増加に伴って殺虫率も92.0%に上昇し、それら薬量区の殺虫率間では統計的に有意差が得られた(α=0.05)。したがって、SFでくん蒸後、低濃度PH3を追加投薬する「連続くん蒸」方法は、両薬剤の相乗効果を発揮させ、コクゾウムシ全態を完全殺虫する方法として適当と考えられた。SF 2.2mg/lで24時間くん蒸後にPH3 1.0、1.5又は2.0mg/lを追加投薬して、さらに48時間くん蒸する連続くん蒸により、コクゾウムシ卵、幼虫、蛹の各態について約1,000頭が完全殺虫された。このことから、SFとPH3の連続くん蒸はSitophilus属2種のすべての態を殺虫するのに効果的であると判断された。

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