落石防止壁に使用されたスギ間伐材の耐久性(第2報)

書誌事項

タイトル別名
  • ラクセキ ボウシヘキ ニ シヨウ サレタ スギ カンバツザイ ノ タイキュウセイ ダイ2ホウ

この論文をさがす

説明

落石防止壁の衝撃緩衝材として6層に重ねて並べられたスギ間伐材の丸太について、劣化状況を調査した。その結果、保存処理された丸太では設置後5年経過したものを含め、劣化は確認されなかったが、設置後約2年6ヵ月経過した無処理の丸太の一部は、表面が木材腐朽菌の菌糸で覆われ、目視で容易に確認できる明らかな腐朽が存在した。各丸太において、落石を受ける側の面をおもて面とし、6層のうち落石を受ける層からその背後に向かってA層、B層と数えると、腐朽の発生はA層丸太の裏面と側面、B層丸太のおもて面と側面に集中していた。これらの丸太は、直立ではなく斜めに傾いた状態で設置されていたが、傾斜角の違いによっても腐朽の進行状況は異なり、35°より45°の丸太の劣化が進んでいた。また、丸太の上部と下部で比較すると、下部で劣化がより進行していた。これらの箇所において腐朽が発生する原因は、降雨を受けるA層の丸太と、それに隣接するB層の丸太において、互いに接する界面に雨水が貯留し、この部分の含水率が高い状態で保たれることに起因すると推測された。また、落石防止壁の周囲を取り囲む高木や草本に由来する落葉落枝の丸太への堆積も、雨水の蒸発をさまたげ、腐朽を促進する要因となっていた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ