二酸化塩素によるコウジカビの殺菌性

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  • ニサンカ エンソ ニ ヨル コウジカビ ノ サッキンセイ

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抄録

二酸化塩素は,塩素系の無機化合物であり,消毒可能な対象病原の範囲が広い薬剤である。本研究では,純粋二酸化塩素と,亜塩素酸ナトリウムにクエン酸を反応して得られた活性化二酸化塩素の2種薬剤を利用して,コウジカビAspergillus flavus S-85の分生子(1.31×10 7個/ml)に対する殺菌効果を調べた。その結果,いずれの薬剤も供試薬液濃度の範囲(二酸化塩素:200~1,000 ppm,活性化二酸化塩素:希釈率40~120倍)では,5分間の浸漬処理でA. flavus分生子を殺菌した。さらに二酸化塩素濃度を下げて試験した結果,A. flavus分生子は,約100ppm (pH 2.6) で殺歯され,約20ppm (pH 3.6) では,60分間の浸漬処理でも殺菌されなかった。この結果は,A. flavus 分生子の殺菌限界濃度が20~100ppmの範囲にあることを示唆しているが,二酸化塩素水溶液が強酸性を示す液体のため,分生子の殺菌作用が純粋に二酸化塩素によるものか,酸の強さによるものか,その両方の作用によるものか,今後詳細に検討する必要がある。

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