ポットを用いた広葉樹の大苗生産 : ポット容量、育苗場所の違いによる播種後1年間の成長比較

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  • ポット オ モチイタ コウヨウジュ ノ オオナエ セイサン ポット ヨウリョウ イクビョウ バショ ノ チガイ ニ ヨル ハシュ ゴ 1ネンカン ノ セイチョウ ヒカク

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抄録

オニグルミ、クリ、コナラについて、播種段階からポットを用いて苗高80cm以上の大苗を短期間に生産することを目的として、ポット容量および育苗場所の違いによる播種後1年間の成長パターンと到達苗高の比較を行った。ポット容量はL(1150ml)、M(510ml)、S(220ml)の3種類、育苗場所は冬期加温したガラス温室、無加温のビニールハウス、露地の3か所に設定した。その結果、(1)ポット容量による比較;クリ、コナラでは苗高および基部直径と、オニグルミでは基部直径と正の関係にあり、大きいポットほどサイズの大きな苗が得られた。ポット容量の違いは、成長パターン(発芽および伸長終了時期、伸長期間)にはほとんど影響を与えなかった。(2)育苗場所による比較;ガラス温室またはビニールハウスなどの保温施設では、発芽時期が早まり、伸長期間が長くなったことで、露地より大きな苗を得ることができた。ガラス温室で加温した効果は樹種間で異なり、オニグルミではガラス温室でビニールハウスより大きな苗を得ることができたが、クリではガラス温室とビニールハウスでは苗高に顕著な差がなかった。いずれの樹種も、ビニールハウスで露地を上回る大きさの苗が得られたことから、ビニールハウス程度の簡易な保温施設でも、十分に成長促進効果を発揮すると考えられた。(3)播種後1年間での大苗生産の可能性;クリでは、露地のSポットを除く全ての試験区で大苗を得ることができ、得苗率は3~67%であった。オニグルミではガラス温室のMポットで2%の苗が、コナラではビニールハウスのLポットで5%の苗が80cmに到達したのみで、1年間での大苗の生産は困難であった。

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