絶滅危惧日本鶏品種「龍神地鶏」の飼育状況およびその形態学的・繁殖学的特徴

書誌事項

タイトル別名
  • Morphological and reproductive characteristics of the Ryujin-Jidori, an endangered chicken breed and their implications for breed conservation
  • ゼツメツ キグ ニホン ケイ ヒンシュ 「 リュウジンチ ケイ 」 ノ シイク ジョウキョウ オヨビ ソノ ケイタイガクテキ ・ ハンショクガクテキ トクチョウ

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抄録

龍神地鶏(リュウジンジドリ)は,和歌山県田辺市(旧龍神村)を原産地とし,同市を中心に飼育されている日本鶏の一品種である。本品種は少数の個体が愛好家を中心に飼育されているに過ぎず,その絶滅が懸念されている。また,本品種には既に遺伝的多様性の低下も報告されており,早急な保護・増殖が必要と考えられる。本研究では,龍神地鶏の飼育状況,形態学的特徴ならびに繁殖性を明らかにすることを目的とした。2012年4月現在の原産地周辺における本品種の成鶏飼育羽数は68羽(雄27,雌41)であった。本品種の羽装は,基本的には雛および成体ともに赤笹(野生型)類似のものであった。雛の頭部および背部には野生型と同様の縦縞が存在したが,全体的着色は野生型のそれよりも暗色であった。また,頚部横側部に黒色領域をもつ点が野生型雛とは大きく異なっていた。雄成鶏は頚羽および蓑羽の羽軸に沿って黒色領域を有した。また,特に頚羽では,この黒色領域に加え,羽毛先端部の両側に黒色部を有した。雌成鶏では背,胸,横腹,翼の羽毛に覆輪様の模様(黒色)が認められた。受精率は約83%,孵化率は約72%であった。体重増加をゴンペルツ曲線に当てはめたとき,極大値は雄で980g,雌で854gであった。性成熟には,雄で18~24週を,雌で26~38週を要し,産卵率は31~35週で約10~25%,41~50週で約10~50%であった。育成率は5週齢時で約70%,30週齢時で約41%であった。現時点における龍神地鶏の個体数は少ないものの,その繁殖性能は比較的良好であるため,その性能を利用して,本品種の増殖を早急に行うことが肝要であると考えられた。

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