日本近海におけるカツオ・ビンナガの来遊量とその変動について(1)

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  • ニホン キンカイ ニ オケル カツオ ビンナガ ノ ライユウリョウ ト ソノ ヘンドウ ニ ツイテ 1

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抄録

資源量の表現方法は次のようにした。すなわち、漁場を緯度経度1度枡目に区切り、総漁獲量を竿数/日の総和でわって密度指数を計算し、密度指数を加え合わせて資源量(重量)指数とした。更に資源量重量指数に3年魚の割合をかけ、これを平均体重でわって、3年魚資源量尾数指数を算出した。計算は1953年~1955年について、旬を単位として行われた。資源量尾数指数の変動を検討した結果、次のことが明らかになった。資源量指数は漁期の始めから急速に増大し7月上・中旬に最大となる。この時期を増大期と名付けるが、資源量指数が最大に達するのは黒潮前線を中に挟んで漁場が形成される時である。その後資源量指数は急速に減少するが、これは餌料動物についての需要に供給が追いつかないためであろう(第1次減少期)。この後に資源量指数の横這いの時期が続くが、これは餌料動物についての需要と供給がバランスしている時期であろう(安定期)。最後に資源量指数は再び減少して漁場は消滅するが、これは水温の低下によるものである(第2次減少期)。更に経度別の変動をみると、北上期には全体として沖寄りに北上し、南下期には岸寄りに南下していることが判る。次に資源量重量指数の変動と漁獲量の変動とを比較してみると、漁獲量が半旬乃至1旬程度資源量指数におくれる傾向がある。これは、添加群が密度が高く離脱群が低いと考えれば説明出来る。何れにせよ、この事実は注意する必要がある。東北沿岸での5・6月の陸揚量と年間総陸揚量の間には、かなり高い正の相関がある。このことは、初期の来遊量と後期のそれとの間に関連があることを意味している。一方、東北沿岸での陸揚量と静岡又は鹿児島の初期の陸揚量との間には相関がない。このことは、南方の初期の漁況から東北海区の漁況を予想することが出来ないことを示している。

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