韓国慶尚南道の馬山地域におけるユーラシアカワウソLutra lutra生息状況の長期推移とその要因

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タイトル別名
  • Influencial factors found in long-term monitoring of the Eurasian otter Lutra lutra at Masan area of Gyeongsangnam-do, Korea
  • カンコクケイナオ ナンドウ ノ バ サンチイキ ニ オケル ユーラシアカワウソ Lutra lutra セイソク ジョウキョウ ノ チョウキ スイイ ト ソノ ヨウイン

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抄録

ユーラシアカワウソLutra lutraが経済成長に伴う環境変化からどのような影響を受けるのか調べることを目的に,工業集積の進む韓国慶尚南道の海岸における本種の生息痕を1982年,1991-94年,2002年および2009年にわたってモニタリングした。慶尚南道馬山地域における糞密度は,1990年代には減少傾向を示したが,2000年代後半には回復傾向に転じた。回復傾向は釜山市などでも見られた。本種が安定的に生息する海域のCODは約4mg/L以下のレベルであった。糞が多く見られたのは,岬の湾口にある磯海岸,海岸近くの小島,河川の人工湖などであり,これらは餌資源の多いことや,隠れ場所として適していることが共通していた。本種は人工護岸のわずかな隙間や,沖合の水産養殖イカダの上をサインポストとして利用しており,人工環境への適応力も備えていた。調査期間中に調査地の陸域における各種経済指標は高い伸びを示したが,湾奥部におけるカワウソが生息しない地域が若干広がったことを除くと,陸域における経済発展や開発は本種の生息に直接的な影響は与えないことがわかった。

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