ウシ骨格筋由来デコリンの単離・精製ならびに高圧下における構造変化

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  • Isolation and purification of decorin from bovine skeletal muscle and its structural changes under high pressure

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抄録

高圧処理は主にコラーゲンから構成される筋肉内結合組織の脆弱化を引き起こす。デコリンは小型プロテオグリカンの一つであり、アーチ型構造のコアタンパク質と1本のグリコサミノグリカン鎖を持つ。デコリンの役割の一つとしてコラーゲン細線維に結合し、その構造を束ねるようにして安定化させることが知られている。当研究室では、結合組織の脆弱化は高圧処理がデコリン分子の構造に何らかの影響を及ぼし、デコリンとコラーゲンの相互作用が変化することで生じると推測している。本研究ではまず、ウシ肩ロース肉から4Mグアニジン塩酸溶液によりプロテオグリカンを抽出した後、塩化セシウム密度勾配遠心分離によりプロテオグリカンを単離した。その後、DEAE-セルロースイオン交換クロマトグラフィーとSepharose CL-6Bゲルろ過クロマトグラフィーにより精製した。デコリンは通常、約48kDaのコアタンパク質を持ち、グリコサミノグリカン鎖と合わせると全体の分子質量は約100kDaになる。SDS-PAGEの結果からこれらの特徴を有していたため、単離・精製の過程を経て得られたものをウシ骨格筋由来精製デコリン試料とし、高圧下での蛍光スペクトル分析に用いた。精製デコリンの高圧下での蛍光スペクトルは400MPaまでの圧力で可逆的な三次構造の変化を引き起こすことを示した。

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