食品製造副産物由来の高消化性繊維の多給および糖蜜の給与が泌乳前期乳牛の生産性に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of feeding high amount of by-product fiber and molasseson early lactating cows
  • ショクヒン セイゾウ フクサンブツ ユライ ノ コウショウカセイ センイ ノ タキュウ オヨビ トウミツ ノ キュウヨ ガ ヒニュウゼンキ ニュウギュウ ノ セイサンセイ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

ホルスタイン種乳牛66頭を供試して、牛における消化率の高い繊維を多く含みエネルギー価の高い食品製造副産物(高消化性副産物)と糖蜜の給与が、泌乳前期における生産性等へ及ぼす影響について検討した。試験区は、粗飼料としてチモシー乾草とアルファルファ乾草、デンプン質飼料として5mmメッシュで粉砕したトウモロコシを用い、副産物の配合割合が少ない対照区(LB区)、LB区のトウモロコシの約1/2を高消化性副産物で置き換えたHB区、HB区に糖蜜を添加した糖蜜区、HB区のアルファルファ乾草の1/2をビール粕、ビートパルプで置き換えた低粗区の4区とした。なお、各区の給与飼料は、「有効NDF」要求量を充足するよう配合割合を調整し、飼料乾物中成分値は、TDN75.3~76.9%、CP16.3~16.9%、粗脂肪4.2~5.4%とほぼ同水準とした。NDFはLB区(35.7%)に比べて副産物多給区では高くなり(40.2~45.0%)、デンプンはLB区(22.4%)に比べて副産物多給区(約12%)が低くなった。各区の飼料を分娩後15週間給与したところ、体重、飼料摂取量、乳量、乳脂率、第一胃内容液の性状、主な血液成分、咀嚼時間、飼料乾物消化率には試験区間に差がなく、高消化性副産物を多給して副産物由来繊維でデンプンを置き換えても高水準の乳生産を達成できた。また、粗飼料の一部を副産物で置き換えた低粗区でも、第一胃内容液pHの低下や食滞牛の発生など粗飼料不足に起因する障害はみられなかった。これらから、高消化性繊維に富みエネルギー価の高い副産物は、泌乳牛飼料中のトウモロコシなどデンプン質飼料の1/2と、また、ビートパルプ、ビール粕など粗飼料性を持った副産物は粗飼料の一部を置き換えることが可能であること、糖蜜の添加量を増やしても飼料摂取量や乳生産を改善できないことが明らかとなった。さらに、トウフ粕やビール粕は蛋白質含量も比較的高いため、価格が高い大豆粕などを節減し、飼料費を削減できることが示唆された。また、副産物を利用する場合の給与指標としては、飼料乾物中のNDFに加えて、ADF、反すう刺激性(RVI)や有効NDFなどに着目する必要があると考えられた。

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